A.漢方薬と新薬とは、親子のような関係です。
人類の長い歴史の中では、身近な天然物(生薬)が薬として使われてきました。そして、そうした生薬中の有効成分を取り出したり、それに簡単な科学的な手を加えたのが新薬で、誕生したのはわずか1~2世紀前です。
一方、漢方薬は2千年前に及ぶ使用経験を通して、効き目や安全性が確かめられてきています。
そして現在、使われている新薬の多くは、天然物に起源のあるものです。
A.新薬は、切れ味の鋭い、即効性のある薬です。
新薬は有効成分だけからつくられているわけですから、その分切れ味が鋭く、即効性があることが特徴ですが、反面、効き目が強く出てしまったり、使い方によっては好ましくない作用が出てしまうこともあります。
また新薬は、一つの薬でいろいろな症状をとることには不向きです。
A.漢方薬は、多彩な症状に対応できる薬です。
漢方薬は、いくつもの成分が助け合って働くことで、多彩な症状にマイルドな作用を示します。
また、「弱り目に祟り目」という言葉のように、人は免疫力が落ちた時は、病原菌に感染しやすいものです。ですから大切なことは、菌を殺すことだけではなくて、むしろ感染に負けない体質に変えて、病気に対する抵抗力を高めていくことです。こうした働きも、漢方薬の得意とするところです。
漢方薬は、合併症やいくつもの症状をかかえている患者様が増えている、これからの社会に適した薬だといえましょう。